インタビュー

10 美髪のための第一歩は、まず“セラミド”から 大人女性のための「頭皮ケアポイント」

大人女性のための「頭皮ケアのポイント」について、セラミド研究の第一人者 芋川玄爾さんにお話を伺いました。

  1. 頭皮はトラブルを起こしやすい肌、でも意外と気づきにくい!?
  2. 肌のバリア機能をつかさどる「セラミド」とは
  3. 肌の保湿機能をつかさどる「セラミド」とは
  4. やさしい洗浄成分とセラミド補給が重要
スキンサイエンス研究所所長/セラミド研究会顧問/加齢皮膚医学研究会幹事/日本抗加齢医学会評議員


教えてくれるのは…

医学博士 芋川玄爾 さん

世界で初めて、皮膚におけるセラミドの水分保持機能を発見したセラミド研究の第一人者。米国化粧品工業会から化粧品に関する基礎的研究の業績が認められ、日本人で初めて論文賞を受賞。2020年に紺綬褒章受章。

芋川研究室 ホームページ https://www.imokawagenji.com/

頭皮はトラブルを起こしやすい肌、でも意外と気づきにくい!?

頭皮は他の肌と比べて皮脂が多く、汗腺も多いのに、バリア機能や保湿機能は低下していて、乾燥しがちでフケやかゆみなどのトラブルが生じやすい部位です。またトラブルがあっても、他人に見てもらわない限り気が付きません。また、頭皮は他の肌よりも肌感覚が鈍感で、状態が相当悪化しなければ気付きにくい。フケやかゆみなどの症状でトラブルに気が付いたときはかなり悪化した状態に陥っていることが多くあります。またトラブルを起こしている頭皮は、バリア機能や保湿機能がさらに低下しており、早めにケアしなければトラブルがさらにひどくなる傾向があります。このような頭皮の肌質の特徴から、頭皮もスキンケアと同様にトラブルが生じる前からの日々の頭皮ケアに注意を払う事が望ましいでしょう。頭皮の肌状態は自分では判断しづらいことから、美容師などの第三者に見てもらうことも一つの方法ですね。

肌のバリア機能をつかさどる「セラミド」とは

肌の最も外側にある0.02mmの非常に薄い層である角層は20層ほどの角層細胞が積み重なって形成されていますが、その細胞どうしの隙間をセラミドが主成分の脂質がラメラ液晶構造を形成して角層細胞をつなぎとめています。角層細胞をレンガに例えるなら、セラミドはレンガをくっつけるセメントの役割があります。バリア機能が低下した肌は、そのセラミドが不足した状態。つまり細胞どうしをつなぎとめる力が弱まって角層細胞が剥がれ落ちやすく(フケのもと)なっているのです。隙間だらけでは細胞がガタガタと乱れ、外的刺激からトラブルを招きやすい肌状態といえるでしょう。

肌の保湿機能をつかさどる「セラミド」とは

セラミドは、ただ単に角層細胞間に存在しているわけではありません。セラミドは脂質ですが水にもなじみがよく、水分を抱え込むという特別な性質を持っています。この物理化学的性質のため、角層細胞間ではセラミドなどの脂質の層と抱え込んだ水分の層がミルフィーユのように折り重なったラメラ液晶構造が形成されています。この構造により、セラミドが抱え込んだ水分は極度の乾燥状態でも蒸発せずにうるおいのある肌を保っているのです。つまり、いくら保湿成分を与えてもセラミドがなければうるおいは蒸発して逃げてしまい、保湿機能が低下すると、かゆみなどの皮膚トラブルが発生しやすくなります。加齢と共に肌が乾燥しかゆみが発生しやすくなる(老人性乾皮症)も、加齢と共にセラミドが減少することが原因です。

やさしい洗浄成分とセラミド補給が重要

肌のセラミドは加齢のほかにも季節や生活習慣などの様々な要因によって減少しますが、そもそもセラミド量は赤ちゃんの頃をピークに減少することが分かっています。また、とりわけ頭皮では日々のシャンプーにより皮脂や汗汚れと共にセラミドも洗い流されて、もともと低下気味の角層のバリア機能や保湿機能をさらに低下させています。洗浄成分の油を落とす特性は、頭皮の皮脂や汗汚れだけではなく油の一種であるセラミドも洗い流してしまうことがあるのです。

すこやかな頭皮環境を日常的に保つためには、「適切な洗浄力でなるべくセラミドが失われないように洗うこと」と「セラミドを補うケア」が重要といえるでしょう。

Conceptコンセプト

学び・行動し・美しくなるためのWEBサイト。
髪や肌に関する知識、
ヘアケアアイテムやスキンケアアイテムの
最新の研究情報や季節情報など、
美容に携わる方にとってプラスな情報を
ADJUVANTからお届けします。